代表あいさつ
私たち夫婦が農業を始めたのは、3.11東日本大震災からちょうど一年後、2012年の春でした。就農以前、夫は建具職人、妻は大学事務職員でした。 震災をきっかけに生活スタイルや食べものについての意識が変わり、 2012年2月、茨城大学農学部で開催された有機農業のシンポジウムに夫婦そろって出席しました。 各専門家の先生方による講演は大変興味深く、「困難な状況だからこそ敢えて農業に挑戦したい、 農業を生業にしたい!」と方向が決まり、研究学園都市つくばにて、同年4月より夫婦で全くのゼロから新規就農しました。
そして就農三年目に、長女が誕生。子育てと野菜育ての、忙しくも楽しい生活が始まりました。 子育てを通して、健康的に楽しく生きるためには良質な食べものが重要だと、より強く考えるようになりました。つくば飯野農園では“質の良いホンモノの野菜”を、ひとつひとつ丁寧に、 “健康に育てる”ことをポリシーとしています。健康に育てると、苦みやえぐみがなくなり、特に葉物野菜がグンと美味しくなります。収穫後の日持ちも良くなります。
私たち夫婦が耕す畑の面積は約1ヘクタールと小規模で、地域に合った固定種(在来種や伝統野菜))を専門に農薬不使用・化学肥料不使用で栽培、できるだけ自家採種もしています。地域の生態系を意識して季節の露地野菜を少量多品目で育てる有機農業はとても有意義で楽しいです。自然は私たちにたくさんの素晴らしいことを教えてくれます。固定種の野菜は本当においしいですよ。娘は野菜が大好きです。
2013年、生活クラブ生協の“GMOフリーゾーン”(遺伝子組み換え作物が栽培されていない地域)に登録をしました。私たちは遺伝子組み換えに断固として反対をしています。もちろんゲノム編集にも反対しています。
2015年からは、アメリカ発祥の農業経営システム、CSA-Community Supported Agriculture-(地域支援型農業)という仕組みを日本でいち早く導入しました。家族経営の小規模農家は経営安定につながり、地域会員は新鮮でおいしい野菜を地域のお気に入りの農家(マイファーマー)から手に入れることができます。人と人がリアルにつながり、人間らしく生きていく食と農を目指すこと、そして嬉しい・幸せ・感動・感謝などの心の豊かさ(精神)を大切にするのがCSAです。
2020年から地元の常総生活協同組合に出荷できるようになり、生協の職員・組合員とともに安心・安全な食と農と暮らしを守る活動をしています。私たちは地域の皆と一緒に笑顔にあふれた健全ですこやかな地域社会の形成を目指し、日々努力しています。
2021年からは、環境・社会・文化の多様性を目指す「アグロエコロジー」(農業生態学)の勉強を始めました。それはまさに私たちが行っていることそのものだとわかりました。美しく豊かな自然環境と生態系(生物多様性)を意識した小農による伝統的な農業の実践は、農家が食料主権(自分たちの食料と、タネ・農法・販路など農業のシステムを決定する権利)を持つことができます。グローバル化と大規模工業化農業によって私たちの食と暮らしに大きな歪みが出ている今こそ、この考え方(アグロエコロジー×CSA)が重要になってきます。そして地域とともに私たちの豊かな食と農の文化を守りそれを次世代に繋げていくことが、子どもたちの未来を確かなものへと変えていく切り札になるでしょう。
「ホンモノのおいしさ」や「本当の幸せ」は、お金では買えません。何よりも大切なのは、ひとの心、人と人とのつながりです。自分を大切に、家族を大切に、地域を大切にして、健康で楽しく幸せに生きていきましょう!
つくば飯野農園 飯野信行・恵理 2021年9月
.
OKシードプロジェクトに賛同しています
OKシードプロジェクトは、
OKシードプロジェクト https://okseed.jp/